バサボセさんが来日しました。

 ポポフのアドヴァイザーのバサボセ・カニュニさんが、総合地球環境学研究所(地球研)の主催する国際シンポジウムに招かれて来日しました。このシンポジウムは昨年の4月に発足した上廣環境日本学センターのキックオフを兼ねて、1月28~31日に行われました。テーマはDance with All: On Animals and Animaで、バサボセさんはこの10数年カフジ・ビエガ国立公園の周辺で手掛けているApe Tree Project(類人猿樹木プロジェクト)について話をしました。これは、ゴリラやチンパンジーの糞から、彼らが食べたフルーツの種を採集し、それを植えて類人猿の食物を増やそうという試みです。しかも、これらの種は地元の人々が昔から利用してきた薬用植物でもあることがわかり、人々も熱心に種を植えてくれていて各地で緑がもどり始めているそうです。バサボセさんはその後も日本に滞在し、旧友たちと交流するほか、信州の地獄谷温泉を訪ねて温泉に入るサルを見学したりしました。

京都では、以前に日本に滞在したときに語ってくれた、コンゴ民主共和国キブ地方の昔話をもう一度聞きたいという希望が多く、2月10日に堺町画廊で「Kuku(ニワトリ)とPaka(ネコ)」という昔話を語ってくれました。13年ぶりの来日だったので、まずバサボセさんの近況報告で始まり、彼が今若い世代の研究者や学生とPrimate Expertiseという霊長類学に団体を作って活動していることや、コンゴが未だに紛争が絶えなくて政治的にも経済的にも不安定なことを報告してくれました。昔話は現地のスワヒリ語で行われ、画廊主のふしはらのじこさんが日本語に同時通訳しました。ニワトリとネコのやりとりが頓智に富んでいて、ちょっぴり残酷で、教訓に満ちているお話でした。このお話はいずれ文字に起こしてお伝えしようと考えています。

バサボセさんが日本に滞在中に、M23と呼ばれる反政府武装勢力がバサボセさんの地元の都市ブカブブに迫っているというニュースが入りました。バサボセさんが日本を去る2月14日には、ついにブカブが反政府勢力に制圧されました。私たちはとても心配して引き留めましたが、バサボセさんは地元に6人の子どもたちを残しており、帰国を決意して予定通り飛行機に乗り込みました。2日後に電話が入り、政府軍がすぐに撤退して戦闘は起こらず、地元は平穏だということでした。しかし、まだ戦時下にあって学校も閉校になり、ほとんどの外国人は脱出したようです。

ポポフ日本支部からはこれまでの寄付金の一部をバサボセさんに渡し、バサボセさんの活動やポポフの活動に役立ててもらうように頼みました。人々やゴリラたちが無事であることを祈るばかりです。

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