コ
ンゴ民主共和国キブ地方の昔話
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太陽と月と雨
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太陽と月と雨は、同じ母から生まれた兄弟でした。
父も同じでした。 それぞれが成長すると、親もとを出て自分で暮らすようになりました。 月日がたち、父はたいへん年老いて、死の床にありました。父は雨を呼んで言いました。 「おまえはまだ若いので私の近くに残っていたが、年かさの兄弟の太陽と月を呼んで来てくれないか。わたしは死ぬ前に話しておきたいことがあるのだ」 雨はいちばん年上の太陽のところへ行きました。 雨は 「父さんが死にそうなんです。今すぐ会いに行ってください」と、たのみました。 すると太陽は 「わたしは今、畑仕事があってとても忙しいんだ。今日は行けない、明日にしてくれないか」と言いました。 雨は月のところへ行きました。 雨は 「父さんが死にそうなんです。今すぐ会いに行ってください。待っておられます」と言いました。しかし、 月は 「わたしは畑の木を切ってきたところなんだよ。すっかり疲れてしまったから、少し休まなくちゃ。またそのうちに行くよ」と答えました。 雨は父のところへもどり、太陽は畑の仕事が忙しいので明日行くと言い、月は畑仕事を終えたばかりなので休んでから行くと言い、だれも自分といっしょに来 なかったことを伝えました。 「何て心残りなことだ。わたしはもうながくはないのだ。来なかった者たちには何も残さないが、おまえには兄弟たの口を封じる力を残してやろう。わたしの死 後、もしおまえが太陽や月と言い争いをして、腹をたてることがあれば、太陽と月はもう二度と話すことができなくなるだろう」そう言うと、父は亡くなりまし た。 それからというもの、昼間明るく照っている太陽も、雨が降りだすとかくれてしまいます。夜こうこうと輝いている月も、雨が降りだすと見えなくなってしま います。 そんな訳で、雨は太陽や月をしりぞける大きな力を持ったのです。それは太陽と月が、父の死ぬ前の願いに従わなかったからです。 これでこのお話はおしまい。 訳
/絵:伏原納知子
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