コンゴ民主共和国キブ地方の昔話
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サルとカメレオン

語り手:マラシ
 
  サルとカメレオン昔サルとカメレオンは とっても仲よしでした。あるとき一緒に、ながいながい旅にでました。歩いていると、ムチキチと呼ばれるヤシの木に、酒が造ってあるのをサルが見つけまし た。
「ああ、のどが渇いてしょうがない。おやっ、いい所に酒があるじゃないか、ちょっといただくとするか」
カメレオンは首を横にふりました。
「だめだめ。人間の酒を飲んだりしたら、ろくなことはないよ。さあ先を急ごう」
けれど、サルはカメレオンの注意に耳をかしませんでした。
あっという間にヤシの木に登り、すばやく酒を飲んでしまいました。
しばらくして、酒を造っていた男が様子を見に来ました。
「おやっ、これはどうしたことだ。わたしの酒を誰かが飲んだな」
男はあたりを見回して、足跡を見つけました。
「うん、どうも二人連れがここへ来たようだ。きっと奴ら
が飲んだに違いない」
男は急いで、足跡を追っていきました。サルとカメレオンが歩いているのを見つけると、つかまえて聞きました。
「わたしの酒を飲んだ奴は誰だ。ええっ、どっちなんだね」
すかさずサルが答えました。
「はい旦那、一目で分かるでしょう。それは酔っ払っている方ですよ」
男はなるほどと思い、サルとカメレオンをじっと見ていました。そして、酔っ払っているのはカメレオンだと思いました。なぜならカメレオンの歩き方は、のっ そりのっそりと酔っ払いのようなのです。
男はカメレオンを、ひどく打ちました。
ようやくカメレオンが許されると、また旅を続けました。人間の村の近くまでやって来ると、カメレオンが言いました。
「寒くなってきたねえ。ぼくは寒いと歩けないんだ。サルくん、すまんが火をおこしてくれないかい」
サルはカメレオンの頼みを聞いて、火をおこしました。サルとカメレオンが火にあたっていると、火はどんどん大きく燃え上がって行きました。そして、ぼうっ と一軒の家に燃え移ってしまいました。
火は、ぼうぼうと家々を焼いて行きました。
怒った村人たちがやって来ました。
「誰だ、火をつけた奴は」
こんどはカメレオンが先に答えました。
「誰が火をおこしたか、手を見ればわかるでしょう」
村人はサルとカメレオンの手を見ました。するとサルの手は真っ黒でした。サルは捕らえられ、とてもひどい目に合いました。

* アフリカのサルは手が黒い。
* ヤシの木を切り倒し、樹液を容器で受けておくと、発酵してヤシ酒になる。


訳・絵 伏原納知子