コ
ンゴ民主共和国キブ地方の昔話
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ククとクワァレの頭の火語り
手 : マラシ
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おはなし出て来い、出て来いはなし。 むかしむかし、ククとクワァレは森の中で暮らしていました。森の動物たちはククとクワァレを、とてもとても怖がって
いました。それはね、ククもクワァレも頭の上に赤く燃える火を持っていたからです。だれもが頭の上の火を恐れて近づけませんでした。そんな訳で、ククとク
ワァレは森の王様のようにして暮らしていました。 「言いつけた仕事はすぐにやり終えることだな。さもないとこの火で、お前たちもお前たちの家も焼いてしまうぞ」こう言われると、動物たちはただただ恐ろしくて、ククとクワァレの命令に従っていました。 ある昼下がりのことでした。ヒョウの老人が火をおこそうとして、火種が消えてしまっていることに気づきました。老人は孫を呼んで、ククかクワァレの頭の火をもらって来るよう言いました。けれど、ヒョウの孫は怖くて怖くて、なかなか行こうとしません。 母さんに 「さあ、行ってくるんだよ」 とせかされて、しぶしぶ出かけて行きました。 ヒョウの 孫がククを見つけたとき、ククは居眠りをしていました。クワァレもまたうとうとしていました。孫は、眠っているところを起したりすれば、ククとクワァレが怒ってひどい目に合うのではないかと怖くなりました。 ヒョウの孫は逃げて帰ると、母さんに言いました。「ククもクワァレも居眠りをしていたんだ。起したりしたら、きっとひどい目に合わされるよ」 「おやそうかい、それはどうしたものかねえ。うーん、そうだ!枯れ草を持って行くといいよ。そおっと近づいて、頭の火に枯れ草をつけると火がとれるだろう」 母さんにそう言われても、ヒョウの孫は怖くて行くことが出来ません。 「しかたがない、じゃ私が行くかね」母さんは意を決して出かけて行きました。 ク クとクワァレが眠っているところまで来ると、母さんはそおっとそおっと、枯れ草をククの頭の火に近づけました。けれど、火はつきません。クワァレの頭の火にも枯れ草を持って行きましたが、いくら待っても火も煙も出ません。まったくの役立たずです。 母さんは、えいっとばかりに頭の火にさわってみました。するとそれは、とても冷たかったのです。母さんは嬉しくなって 「おおおおおおお!!!!」と叫んで、ククとクワァレを起しました。 ククとクワァレは、びっくりして飛び起きました。「あんたたちは大うそつきだね。頭にあるのは火なんかじゃない。まったくのでたらめだよ。さっそく皆に言いふらしてやるからね」 ククとクワァレは慌てて荷物をまとめ、森から遠く離れたところへと逃げて行きました。うそがばれて、森の動物たちに笑われるのが怖かったのです。 その時からククはとても臆病に鳴くようになり、村で人と暮らすようになりました。けれどもクワァレの方は、森と人里の間に留まり、ククとクワァレが森で一緒に暮らすことは、もうありませんでした。はい、これでお話おしまい。 訳
/絵:伏原納知子
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